この街の人になった日

今日は、免許証の住所変更に行って来た。今まで、身分証明と言えば保険証で、少し煩わしい思いをしていた。この街に住んでもう10年になる。
どうしてそれまで住所を実家のままにしておいたのかには、理由がある。今住んでいるところで、免許の更新をしようとすると、めちゃくちゃ遠くの免許センターまで行かなければならない。しかも地元民でなければ分かり得ないところにあるらしい。
それが、煩わしかったのである。本籍はというと、物凄い田舎なのだが、免許の更新はなじみの(と言うと響きは悪いが)警察署に行って、30分の講話を聞いて終了なのだ。だから、更新の年に実家に帰ってぶらり、話を聞いて簡単な手続きをして終わっていたのだ。

しかし、街中にずっと住んでいると色々あるもので、住所確認のたびに保険証を出さなければいけなく、面倒なところではキャッシュカードの提示まで求められる。それがひどく面倒だったのだ。この街のひとは、やさしい。警察署に手続きに行くのに、用足しをしていたら規定の時間を5分オーバーしてしまったのだが、交通課のおじさんは何にもないような顔で時計を見やり、『まだ大丈夫ですよ。』と言い、私から書類を受け取り、手続きを始めてしまった。これもきっと、都心なんかでは通用しないことなんだろう。

免許証の裏には、しっかりと現在の住所が記載された。この、免許証だけが唯一本籍のままだったのだ。やっと、大好きなこの街の人間になれた気がした。更新は面倒になるんだろうが、この街の人間として、ちゃんと生きていこうと思えた瞬間でもあった。

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